◆[院内だより6月号] 〜患者様の健康のために〜
先日、当院は国際グラフ(国際企画発行)の「ドクター訪問」の取材を受けました。取材ゲストは
俳優の清水章吾さんでした。詳しくは院内図書の国際グラフ6月号172ページをご覧ください。
 ◇院長より

「流行性耳下腺炎・ムンプス・おたふく風邪」(すべて同じ病気を指します)

初夏の風が吹き、ムンプス(おたふく風邪、流行性耳下腺炎)の流行も下火になってきたようです。
ムンプスはウイルスによる「全身の病気」です。ウイルスが身体に入りますと、2〜3週間の潜伏期を経て発症し、熱を伴って耳たぶの下辺を中心に、耳下腺(唾液腺)が腫れて「おたふく顔」になります。時にはあごの下(顎下腺)も腫れて、腫れた所は痛みます。唾液腺の炎症ですから、特に物を食べると痛みが強まります。このことで耳たぶの下や、あごの下のリンパ腺と区別できます。

 先に述べたように「全身の病気」ですから、熱、腫れが引いて元気になっても、早々と身体に負担を掛けるようなことをしてはよろしくありません。養生をおろそかにすると、以下のような合併症を背負い込み易くなります。

 先ず、耳鼻科で最も困る合併症は、急に起こる難聴でしょう。腫れが引いて元気になった頃に何の前ぶれもなく聴力が悪くなります。多くの場合完全な「聾(ろう)」になり回復しません。唯一の救いは、多くは片側が冒され、両側が「聾」になることは稀なのです。しかし「片方が聞こえる」のでは、幼児では気付かれにくく、就学児検診になって発見されることも多いのです。また、早期に発見されても、先に述べた様にムンプスにより生じた難聴はまず駄目なのです。

 次に有名なのは睾丸炎でしょう。成人男性の10〜20%がかかり、「男性不妊の一因」などと言われていますが、私の経験ではそんなに多くないと思います。そもそも両側の睾丸が冒されることは稀ですから、世間で騒ぐ程の「不妊症」はめったにないのです。しかし、一度かかりますと睾丸はリンゴ大に腫れあがり、その痛みは麻薬注射でも、なかなかコントロールできない位で、それはひどいものです。

 次に髄膜炎。時に耳下腺が腫れて10日程経って、熱、頭痛、嘔吐を伴って始まりますが予後は良く、後遺症も残りません。しかし、ムンプス患者の脊髄液を調べたある報告によると、患者の半数において、脊髄液に異常が生じていたとあり、実際に髄膜炎を発症する患者の何倍もの人が無症状で済んでいることになります。

 以上、三つの合併症にかかった人を後日ふり返ってみますと、回復期に無理をした人がなりやすい、という傾向があります。たとえ軽症でも、病後の回復期には充分な休養を心掛けましょう。

 ムンプスはウイルスによる病気で、直接効く薬はなく、予防にはワクチンしかありません。日本では何故か任意接種になってしまいました。ワクチン事故の為でしょうか。ちなみにアメリカでは全く同じワクチンを必ず受けることになっています。接種しないで「聾」になる率は接種事故の率よりはるかに高いのですから、ムンプスワクチン接種はした方がよいと思うのですが・・・。

 追記;ムンプスにかかり、他人に感染させる危険期間は、耳下腺が腫れた日を中心に前後一週間と憶えておくと良いでしょう。この二週間は患者の唾、涙、尿、便、血液の中に多量のウイルスが含まれ、「他人にうつす能力」があります。

院長 菅家 元


 ◇休診日のお知らせ
6月7日(火曜日)から6月13日(月曜日)まで院長は休診します。なお、副院長の診療は通常通り行います。

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