◆[院内だより12月号] 〜患者様の健康のために〜
 ◇院長より

「耳にまつわる迷信・2例」 耳について誤って信じられていることについて書いてみます。

● 「耳に水を入れると中耳炎になる?」
これはよく聞くことです。中には医者でもこんな事を信ずるのがいるくらいに世に拡まっている「迷信」でしょう。耳の孔は約2.5センチの突きあたりが鼓膜で終わるトンネルです。これを外耳道といいます。中耳(腔)はその鼓膜の向こう側にあって、細い管(耳管)で鼻とのどに交通しています。鼻を強くかむと耳に空気が抜ける、アレです。以上の構造ですから外耳道に入った水が中耳(腔)に入ることはありません。例えばおへそは5ミリ位の深さの行き止まりの孔です。腹の中へつながっている訳ではありませんから、おへそが汚い水につかって腹膜炎になりませんね。「耳に水が入ると中耳炎になる」ということは「風呂に入ると水がお腹の中に入る」と同じくらいこっけいなことなのです。

 中耳(腔)にバイ菌が入って炎症が起きるには鼻やのどから耳管を通ってくる路が多いのです。中耳炎の合併症として風邪・鼻炎・扁桃腺炎が多いのは以上の理由によります。水泳の選手が中耳炎によくかかる・・・なんて聞いたことありませんでしょう。

 この「迷信」を無理に変えるなら・・・「耳に汚い水が入ると外耳道炎になる」と言うべきでしょう。以上の話は鼓膜に穿孔がある方には当てはまりません。それでも現在は防水性の耳栓をして多くの方が水泳を楽しんでいます。

● 「耳あかをそうじすること」
皆さん、ちょっと考えてごらんなさい。人間以外の動物で「耳あかをそうじする動物」はいるでしょうか? 猿・犬・猫からライオン・キリンに至るまで耳そうじなど一度もせず無事に一生を終えます。何故でしょう? 「耳あか」はもともと自然に排泄されるものだからです。人間だって本来はそうなのです。 

耳の孔は入り口から1センチ位までは外に向かって毛が生えています。丁度その場所で耳あかは頭のフケの様に生まれます。耳たぶを引っ張る・動かすとこの毛も動き、それに乗って耳あかは自動的に外へ外へと少しづつ運ばれるのです。この「毛の林」を過ぎて奥の方は毛のない皮膚が鼓膜まで続きます。・・・この部分では耳あかは生じません。

もう一度おさらいします。耳の入り口にだけ外に向かって毛が生えている。そこに生じた耳あかは毛の動きにのり自然に外へ排泄される。従って、お母さんが「耳そうじ」のつもりで綿棒をつっ込む行為は耳あかを無毛地帯に押し込むことになり耳あかは自然に排泄されにくくなり、積もり積もって大きく硬くなり医師の手によらなくては除去できない程になります。「耳そうじ」から生ずる最も大きな問題は、外耳道・鼓膜損傷です。当院のような小医院でも毎月10-20人の患者さんがあり、多くは幼小児です。全国的に集計したら毎月何万人にもなるでしょう。相手は幼小児ですから、耳そうじする際にじっとしているとは限りませんからね。ある大学教授は「お母さんの耳そうじは犯罪だ」とまで言い切っています。確かに「する必要のない行為で幼小児に傷を負わす」ことは犯罪と呼んでもよいかも知れません。
またいくつか「迷信」がありますが順次紹介して参ります。

今年も残り少なくなりました。末筆ながら皆様よいお年を迎えなりますようお祈りしております。


 ◇お知らせ

年末年始の休診、および院長の休診のお知らせ

年末の診療は12月28日(水曜日)までです。年始は1月4日(水曜日)からです。
尚、院長は12月27日(火曜日)、28日(水曜日)は休診です。


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