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E.B.M と納豆ダイエットとテレビの広告
今春はどうやら花粉症が軽く済みそうで、毎年悩まされている方は朗報ですね。
今月はE.B.M について勉強しましょう。
E.B.M ...Evidence-Based Medicine...「根拠に基づいた医療」と訳されます。最近の医療記事に見かける重要な言葉です。E.B.M の主旨は、医療(治療、薬)の有効性を、かたよりのない立場から証拠を積み上げて論理的に検証し、怪しげな医療を排除して正しい医療を目指すことです。
「この治療はE.B.M がある」とは治療が確かな根拠に基づいている有効なものだという意味です。しかしE.B.M が認められるには・・・かたよりのない対象(人種、性、環境など)を選び、医師、患者双方に先入観を生じない方法で(二重盲目試験の導入)、統計学的に有意な対象数をそろえて・・・他、多くの厳密な条件、規定があり、加えて学識経験者、学会、追試験などの関所を越えなくてはなりません。
ある薬や治療にE.B.M が認められるには3〜10年の期間と膨大な費用と人手がかかります。しかしE.B.M は医療現場ではゆっくりだが確かな足跡を残しており、無駄な投薬が減り入院期間の短縮、手術の替りに放射線の利用等、より良い医療の進歩、改善に役立っています。
さて、「風評、感情、ファッションにながされずに冷静に真実を見極めよう」というE.B.M的立場からテレビを見ていますと、広告も番組も視聴者を欺くものはゴマンとあります。先日の「納豆ダイエット」は言語道断ですが、くすり、サプリメント、栄養ドリンクなど効能の疑わしい広告や番組が目白押しです。いくつか例を挙げて検討してみましょう。
まず、「納豆ダイエット」で仮にねつ造でなく、報道されたとおりの「実験」が行われたとしても、対象の選び方が杜撰(ずさん)で、評価できる代物ではありません。例えば対象が日常納豆を食べていたか否か、太った人か痩せた人か・・・対象例数は?・・・あいまいです。
サプリメントの広告で使用経験者に語らせながら「あくまで個人の感想であり・・・」とテロップを流して・・・語るに落ちますね。
「疲れ」がとれるドリンク剤、目の「疲れ」がスーッと消える点眼薬。広告主に聞いてみたいですね。「疲れ」とは何ですか?と。「疲れ」とは何でしょうか。未だ確たる答えのない命題です。「疲れ」が消えるドリンクがあれば、それを飲みながら不眠不休で働くことが可能です。「疲れ」が解明されないのにそれに効くドリンク?それを飲む人はオメデタイとしか言いようがありません。
NHKの「ためしてガッテン」にもっともらしい「実験」がしばしば登場しますがE.B.M の目で見ると疑問が多くあります。例えば3/5と3000/5000では同じ60パーセントでも扱いが異なるはずなのにあいまいだったり、主観的評価を集めて客観的評価風にまとめたりすることが散見します。私はあまりにも簡単、迅速、明解な結論に疑いを感ずるのです。ねつ造は話になりませんが効能、効果もないものの宣伝、販売も大した違いはないでしょう。
ここで簡単な質問をしてみましょう。毎年、カルガモの写真がニュースに登場します。母さんカモが子ガモを連れて...まあ母子家庭・・・待ってください。どうして母親なのですか。父親かもしれません。いや単なる孵化した時に側にいた成カモかもしれません。真実を確かめるには少なくとも30例くらいのカルガモの行列を調べなくてはなりません。ね、簡単な事象でも思い込みを排して真実を確かめるには多くの手間がかかるのです。
「納豆事件」だって改めて時間と費用をかけて調べれば「ダイエット効果あり」の「新事実」が確認されるかもしれません。
話がE.B.M からだいぶ飛んでしまいましたが、E.B.M を通して正しい医療を見直す考え方は、医療にとどまらず日常生活の中にまぎれている欺瞞的な部分を見つける参考になると思います。 |