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 ◆[院内だより6月号] 〜患者様の健康のために〜
 ◇院長より

すり傷…どう処理するか
 今日は日常しばしば経験する「すり傷、火傷」の治療についてお話しします。特に耳鼻科に限った話題ではありませんがこの一文は必ず役に立ちますよ。たかが「すり傷」と軽視してはいけません。その治癒過程がよく研究され、従来と違う新しい治癒・処置が広まってきました。
 一例を挙げてお尋ねします・・・子供が自転車でブロック壁に激突、顔を大きくすりむき、他に肘、膝にも受傷したとします。あなたはどうします?
● 創傷を消毒剤でしっかり消毒する
● 局所をガーゼで覆い絆創膏で止める。
昔でしたら以上の処置が普通でしょう。ところが新しい治癒基準からみれば全て間違っており不適切なのです。
正しい治療法では・・・
● 創部を水道水で充分洗い流すのみ。
● 消毒剤は用いない。
● 創面は被覆材(浸潤材入り絆創膏、パッド、ラップ等)で覆い局所の乾燥を防ぐ。(ガーゼ等を用いて局所の滲出液を吸い取らせない)
どうですか、今までの処置と逆でしょう。
以下に新しい治療の歴史と理由を述べましょう。
(歴史)
1962年-40年余も昔に米国の医師が「ブタ」を用いて実験し「ヒフの欠損傷はポリエチレンフィルムで覆ってジクジクさせておいた方が、局所を乾燥させ痂皮(かさぶた)を作るよりはるかに早く治る」という報告をしました。その後も「創部の湿潤を保つことは治癒によい結果」という報告が続くのですが、世の中の風向はそう急に変わるものではなく、ようやくここ10〜15年、皮膚科・外科医師はもとより一般にも知識が拡がって参りました。
(現在の治療と考え方)
● 先ず創部を流水(水道水)でよく洗い、異物(泥、ガラス片等)を除去します。
● 消毒液は通常使用しない。なぜなら消毒液は破損した組織・細胞を更に傷つけ滅菌効果は水流洗浄と大差ないのです。
すり傷から「ジュクジュクしみ出る液」は白血球や損なわれた上皮細胞を増殖・生着させようという因子(創を早く治そうとする物質)が沢山含まれているから大切にするべきで、浸潤につとめ、ガーゼ等を用いて吸収して局所の乾燥や痂皮(カサブタ)化を促進させない。
(結果)
多くのE.B.M.( 院内だより平成7年2月号を参照)に裏づけられた報告によれば治癒期間も医療費も従来の半分となりしかも従前の方法より痛みも少なく仕上がりもきれいになります。
(追記)
例外的に、感染がひどい、血流障害、原病・・・糖尿病などがあれば適宜対応すべきでありましょう。それでも局所の浸潤を保ち消毒剤の安易使用を減らす努力が望ましいのです。
(家庭での実際の対応)
以上、重複しますがまとめてみます。
(1) 創部は水道水で洗うのみ
(2) 消毒剤は用いない
(3) 創面の湿潤を保つ。この目的のための被覆材は既に一般の薬局で売られております。
商品名:バンドエイド・パワーパッド(ハイドロ・コロイド・ドレッシング剤)他カルスロット、パワーエイド、ハイドロエイドなど。小さいお子さんのいるお母さん、古いバンドエイドではなく新しいタイプのを揃えておくようお勧めします。

院 長




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