|
予防接種ワクチンの話
病気を克服するには薬だけではありません。
身体に備わった自然の防御機能・・・「免疫」を利用するワクチン療法は大切ですね。
子育て真っ最中のお母さん、日本では法律に基づいて「受けなくてはならないワクチン接種」はいくつあるかご存知ですか? 以下に列挙してみます。
ポリオ・BCG・麻しん・風しん・日本脳炎・ジフテリア・百日咳・破傷風・・・以上8種です。おたふく(ムンプス)・水痘(水ぼうそう)は含まれていませんね。
多種類のワクチンをすべて別々に接種すると、受ける機会が次々と巡ってきて煩雑になりますので、一緒に接種しても差し支えないものは混合接種にするのが望ましく、例えば、風しん・麻しん(MR)ワクチンが作られています。あまり何回も受けねばならぬとなると、未接種の人が増え予防の意義が薄らぐのです。麻しん(はしか)は未接種の若者が多く、大流行して大学が休校になる程の騒ぎがありましたね。
さて、我国の問題点は世界の70-100ヶ国以上で5-10年も前から承認されているワクチンが未承認、あるいは入手出来ないことになっています。更には、もっと優れたワクチンへの切り替えが遅れています。・・・例えば日本で使用しているポリオワクチンは他国ではもっと良いタイプに替わってきています。厚生労働省の極めて慎重な臨床試験を続ける態度?怠慢?のお陰でしょうか?
私・・・耳鼻科医・・・の立場から残念と思えるのは、米国で承認されている4種混合ワクチン(麻しん・風しん・おたふく・水ぼうそう)が日本では未承認な事です。前に述べた様に前二者は法定接種であり、後二者は任意ですから、その混合接種は許されないのです。日本でも「おたふく」ワクチンは法定接種でしたが、一部副作用の出た患者の訴えで任意接種になったいきさつがあります。結果、おたふくによる幼児の難聴が増加しつつあり副作用の発現児よりはるかに多いのです。ちなみに多くの先進国ではおたふくワクチンはすべて法定接種です。
水痘(水ぼうそう)ワクチンは日本で開発されて世界中で基本的なワクチンとして広く使われているのに本家の我国では未だに任意接種に止まっています。水痘は幼児期にかかると成人・高齢になって再び帯状疱疹として発症して苦しめますから、成人・高齢に近づいたらワクチンを使う事が望ましいのですが、高齢者・成人には任意どころか未承認なのです。
話は変わりますが、毎年インフルエンザが流行する季節になりますとインフルエンザによる高齢者の死亡が問題になりますが、現実は、インフルエンザは「引き金」で死因の主役は肺炎球菌感染による肺炎・髄膜炎が占めています。従って高齢者はインフルエンザはもとより、肺炎球菌ワクチン接種を受ける事が望ましいのです。このワクチンは任意ですが、PR不足の為か米国は高齢者接種率が70%に比べて我国では4%に過ぎません。 先進国では当然のように普及しているワクチンが我国では未承認、あるいは入手困難の現実が判っていただけましたか?
終わりに、私見を混えて厚生労働省並びに関係方面に希望・提案を述べてみます。
○諸外国でとっくに承認されているワクチンを早く承認して欲しい。
○ワクチンの有効性・リスクはもとより、社会全体で考慮した場合の損得、更には健康保険の適応の可否、国の負担などを考慮し国民のための医療政策をお願いしたい。
追記:理想や要望はさておき医療現場の菅家耳鼻咽喉科から、具体的かつ現実的なアドバイスを申しますと・・・任意接種ですが・・・
★幼小児におたふく・水ぼうそうワクチンを受けることはお勧めです。特におたふく罹患後の聾(ろう・一生まったく聞こえない状態)を防ぐためにも受けるべきでしょう。
★高齢者に肺炎球菌ワクチンは有効です。効果は4-5年持続します。インフルエンザ後肺炎になっても死ぬ率は半分になります。私?勿論とっくに受けております。
院 長
|