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小児の急性中耳炎の治療法の最近の傾向
小児の急性中耳炎は3歳までに7〜8割の小児がかかる極めてありふれた病気です。半世紀前の頃は時に重大な合併症を生ずるあなどれない病気でしたが抗生物質の発達した現在はさしたる問題もなく治癒するようになりました。ところが近年、治癒が長びいたり反復する症例が増え、諸外国では対応に大きな変化が見られるようになりました。
我国の耳鼻咽喉科学会でも、とうに問題を重く見て検討を重ね、先般、新しい治療指針(ガイドライン)が発表されました。この治療指針は学会が総力を結集して偏見を排し、E.B.M.に基づき内外数百の論文、数万の症例を審議しまとめ上げたものです。(E.B.M.については院内だより平成7年2月号参照)
この指針の内容で最も注目する点は・・・・
抗生物質の投与法についてでしょう。わかり易く申しますと「普通の急性中耳炎の場合、抗生物質の投与は2〜3日で十分、または症状・所見が軽ければ投与せず様子をみることで十分治癒する」と紹介していることでしょう。また、早急の鼓膜切開についても「必ずしも早期の治癒に結びつかぬ」点などが指摘されております。もちろん我国固有の事情・条件などがありますから、指針に述べられたやり方が医師の裁量の正否を問うものではありませんが、私には大いに参考になりました。
さて前置きが大分長くなりましたが、菅家耳鼻咽喉科では指針の出る以前の3年ほど前から外国の文献・報告を参考に特に「抗生物質を使わなくても良くなるものが多い」という点に関心を持ち極く普通の急性中耳炎には抗生物質の投与を控えるか、短期間(2〜3日)にとどめるように努めて参りました。結果は以前のような5〜7日の投与と差もなく、よく治るような印象でした。
一方、5〜7日を越えて長引く患者さんには、原因検索や原因排除を目的にのどや耳だれの菌培養検査や鼻の治療をこまめに行って早期の治癒を目指します。また、鼓膜切開も極力控えておりますが、切開をした場合と治癒率に大差を生じない印象です。抗生物質の乱用は薬剤耐性菌を増やすと言われていますから、抗生物質の使用を減らせることは良い事です。これからも当院はしっかりとしたデータにもとづく新しい知見を参考にしながら、新しい治療法を日々の診療に取り入れ、少しずつ前進しますのでご理解よろしくお願い致します。
院 長
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