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薬の副作用を利用した治療
バッファリンという薬を耳にしたことがありましょう。主成分はアスピリンです。鎮痛・解熱・抗炎症と100年余の歴史を持った比較的安全な薬として世界中で使用されて来ました。しかし近年、重大な副作用・・・ライ症候群・アスピリン喘息などが指摘され、更にはより優れた薬が開発されあまり使われなくなりました。ところが、アスピリンの副作用として知られている「血小板の凝固能力を低下させる」ことを利用して心筋梗塞・脳梗塞の再発予防に少量のアスピリン(商品名・・・バイアスピリン、小児用バッファリン)を発症後に長期に投与してその再発率を実に1/3に低下させることに役立っています。血液が固まりにくくなれば上に述べたように良い結果も期待できますが、反面、服用中は出血を伴う手術・抜歯の場合は注意して休薬も必要ですし、鼻出血や小さいすり傷にも慎重に対処しなくてはなりません。幸いなことに服用を止めると比較的短期間で血小板の力は回復します。皆さんの周囲で心筋梗塞・脳梗塞の罹患後少量のアスピリンを服用している方がきっといらっしゃいますよ。
もう一つの例を挙げてみます。耳鼻科や内科で蓄膿症・気管支炎・・・上気道炎にマクロライド系抗生剤(商品名・・・クラリス、クラリシッドなど)を長期に投与します。
患者さんの中にインターネットで独自に調べて「抗生剤をこんなに長期投与してよいのか」など質問する方がいましたが投与量を調べてごらんなさい。通常の投与量として「有効」と定められた量の1/2〜1/3の量が処方されています。即ち投与する立場からは抗生剤の効果を期待しているのではありません。実はこの薬の「副作用」を利用しているのです。マクロライドの作用は通常は「ばい菌をやっつける」のが主ですが他に「鼻腔・副鼻腔・気管内の粘調な分泌物をサラサラにする効能」があったのです。私達はこの効能を利用しているのです。そしてこの「ベタベタ→サラサラ」をもたらすには少量で充分という訳です。
以上2例のお話をしましたが、次回は、世界中にサリドマイド奇形児を作った「サリドマイド睡眠薬」や、あの有名な「バイアグラ」にまつわるお話をしたいと思っています。いずれも後日に生じた「副作用」が生かされた薬です。
院 長
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