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薬の副作用を利用した治療 続き
先月お約束の「続き」の2例のお話しをします。
先ずサリドマイド睡眠薬・・・
このくすりは1960年代頃、ヨーロッパを中心に使われ、妊娠初期に服用した場合にいわゆる「あざらし奇形」・・・上肢の形成が未発達で、」アザラシの様な外観の奇形児が多く出生しました。我国でも300〜400例の奇形児が報告されています。
当然3〜4年で発売停止となりましたが、最近この薬が「多発性骨髄腫―たはつせいこつずいしゅ」という悪性腫瘍に有効なことが見出され、再登場して参りました。毒がくすりになる!驚きましたね。この病気は抗癌剤・放射線治療などがあまり有効でなく、この病気で苦しむ患者さんには朗報でしょう。
次はクエン酸シルデナフィル=バイアグラです。
今世紀初頭、米国のある会社が血液循環を改善する新薬の開発を進め・・・試験管内テスト・動物実験を経て最終段階・・・いよいよボランティアを募りヒトに対する投与をすることになりました。通常最終試験では外観は全く同じの本当のくすりと、にせぐすりを投与して、しかも投与する医者にも患者にも知らせず薬効を調査します・・・これを二重盲目試験と申します。この試験が終わると、飲み残したくすりはすべて回収されるのが原則です。統計の処理の上でも必須のことです。ところが、この時に通常では考えられない位の多くのくすりの返還もれが出て参りました。しかも返還のされない症例を分析してみると本当のくすりを与えられた症例に多い・・・何故だろうとさらに追求してみますと「このくすりを服用するとアッチのほうがすこぶる元気になる」というのです。ちなみに血流改善の効果は殆んど認められなかったのでした。血の流れを良くして脳梗塞・心筋梗塞の治療に役立てようという当初の期待は薄れたものの、とんだ副作用が出てきてしまったのです。その後、改めて研究を重ね「勃起不全」のくすりとして完成して発売されているのはご存知の通りです。
またこの研究の過程で二人もノーベル賞の受給者を産み出すなど副産物もありました。
だより先月号ではバッファリン(アスピリン)とマクロライド系抗生物質、本月号ではサリドマイドとバイアグラの2剤、それぞれ興味深いエピソードは如何でしたか?
院 長
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