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「40年前に先輩医師から言われた事」
“院内だより”もいつも病気の話や固苦しい話ばかりでは肩こりしますので、今回は先月お約束しましたように日常の外来診療でかいまみたことを述べてみたいと思います。
40年余も前の開業する折に、私はある先輩から次のように言われたことがあります。「若いうちは病人を診ているけど、年をとってくると・・・診療・投薬・・・という患者さんばかりじゃなくなるよ」と。「先生、今日は診療はいいから話聞いて」とか、「先生の顔を見たら楽になっちゃった」なんていう向きがやってくるよ・・・ただしあくまでも君が年を重ねての話だがね」と・・・。妙に心に残った一言でしたが、私にもとうとうその歳が来ました。この数年、診療台を前にして病気とは全く関係のない話題、特に家庭の話が増えました。自分でもびっくり・・・ああ年をとったのだなぁと思います。でも開業を長く経て、地域密着、三代、時にはひ孫ともお付き合いできることは喜びでもあります。現在一緒に診療している副院長(息子)が頑張ってもこの点だけはなかなか追いつけないと思いますなぁ。
さて、外来でお付き合いした(嫁−姑・しゅうとめ)話題を取り上げましょうか。洋の東西を問わず多くの文学作品のテーマ、世間の話題となるこの「大問題」は恋愛のテーマに負けぬ永遠のものでしょう。本日の二題はだいぶ日の経った(時効の過ぎた)ものであまりなまなましくないのを選んでみました。念の為申し添えますが、私はどちらの味方もしませんよ。何故ならあとで仲直りした場合に当方にトバッチリが来るんです。「あの先生がお前のことを悪いと言っていたよ」「お母様にもひどい悪口を・・・」なんて言われたら大迷惑ですからね。
以下に実例を二つ程・・・
ある日お婆さんが鼻の治療もそこそこに「先生、まぁ聞いてくださいよ」と一気に話を始めました。「孫が失礼にもオバアチャンはいつ死ぬの?・・・と聞いたんですよ。そういうこと言わせる嫁は許せない」と大憤慨。でもねぇお孫さんは3歳でしょう。第三者の私から眺めると「無邪気に問うただけで汚い下心があったとは思えませんよ」と何とか納得して帰って頂きました。皆様どう受け止めますか?
もう一つ・・・ある若いお嫁さんのお話・・・
お姑さんが帰宅して台所を通り過ぎる際に、私たち若夫婦が何を食べているのか鍋の蓋をそっと開けてのぞいた・・・と訴えました・・・耳鼻科の訴えじゃありませんなぁ。私もこれはちょっとひどいなと思いまして、後日機会を見てそれとなくお姑さんに問いただしてみました(これが難しい技の要るところです!!)ところ、以下の如き結末でした。
お婆ちゃんが帰宅すると魚の焦げる臭いがしたのでとっさにコンロの上の鍋をのぞいたという訳でした。なあんだ悪意は全くないじゃないですか。でもお嫁さんから斜めに眺めると上のような流れになってしまうんですね。
この他種々の自験・他験例がありますが冷静になって振り返ってみますと、多くの場合は双方が悪意に根ざしたトラブルというより、小さな思い違いなどがきっかけが多いようですね。もし実の母・娘なら問題にならないのが義理の母・娘という気配りがトンガリ、誤解にまで行くのでしょうか。私は嫁・姑問題は代々永遠に受け継がれて行くものと思ってはいますが、上に述べた私の受けとめ方が少しでも戦争をやわらげるのに役立てばと祈っています。
お詫び:
本年1月号“院内だより”の中で引用文献を間違えておりました。ネイチャー6月号ではなく、正しくはサイエンス6月号でした。原題;Would You Be Happier If You Were Richer? A Focusing Illusion. 以上、謹んで訂正させていただきます。お問い合わせ頂いた読者の方ありがとうございました。
院長
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