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 ◆[院内だより8月号] 〜患者様の健康のために〜
 ◇院長より

2010夏・暑中お見舞いに・・・

 暑いですね。「だより」も真面目な話題が続きましたので八月号は夏の季節の怪談? ではありませんが耳鼻科外来で私が経験した珍しい例をお話ししましょう。
●私が新米医師からひと皮むけた? 3〜4年目の頃でした。ある病院で当直をしていた時です、看護婦さんが寝ていた私をゆり起して「先生、(舌が急に大きくなって口からはみ出して苦しい)という患者さんが来ています。」というのです。皆さん、「そんなことアリ?」と思うでしょう。眠い目をこすりながら外来に出てみると、中年女性が苦しそうに肩で息をして座っております。こちらを振り向いた顔を見て驚きました。握りこぶし程の何かを咥えて・・・いるように思えましたが・・・いや実はそうではなく、あまりにも巨大化した舌が口からはみ出しているのです。それは深海魚を釣り上げると急激な水圧の変化で口から内臓を吐き出しますね。まさにそれです。付き添いの御主人と本人から少しずつ話を聞くと・・・二時間程前から舌に違和感を生じ、みるみるうちにこんな大きな舌に・・・と言うのです。未熟医師の私には何か見当もつきません。
 とりあえず入院、酸素吸入、点滴をつけ、腫れを除こうとステロイドを入れ、更に抗生剤を加えました。3〜4時間経つと腫れが徐々に引いて翌朝にはほぼ正常になりました。患者さんにはたいそう感謝されましたが私自身はどうしても釈然としません。先輩らに尋ねまわったら、あっさり「それはクインケ(Quincke)の浮腫だろう、たまに遭遇することがあり、多くは顔の一部、例えば口唇、眼の回り、頬などが急に腫れる、乱暴なことを言えば放っておいても治る。でも舌は珍しいね。」と言われました。改めて調べてみますと、このような急激な浮腫=むくみは「蕁麻疹の様なもの」でまれに気管や内臓に生じ、その場合は急速かつ慎重な対応が必要であると知りました。その後50年の医師人生で度々経験することになりますが、あの時の驚きは忘れません。
●もう一つ、20年も前でしたが20代の男性が「はなつまり」を訴えて来院しました。診察しますと鼻腔内の肉のひだ(甲介と申します)が甚だしく腫れて両鼻腔を塞いでいます。私が手もとに用意した鼻の解剖模型を手にして、この甲介というのが非常に腫れており、鼻腔を塞いでいるので・・・の説明を遮る様に「アア判ります、判ります。舌で触ってみるとはっきりと鼻腔に充満してつまっています。」と言うではありませんか。「オイ、オイ、鼻の孔中を舌で触れるとはどういうことだ、鼻の中まで届く長い舌などある訳ないだろう 犬猫だってせいぜい入り口までだろうが」・・・すると「いや触れます」と言って口を開いたのを見て驚きましたね。なんと舌が無いんですよ いや、舌が全部、軟口蓋(のどちんこ)の上に入ってしまっているんです。エーッ、こんなことあり!!でしょう。私が驚きを伝えたら本人は「誰でも出来ることでしょうが」とケロッとしているので、またまたびっくりしてしまいました。
 この「舌雲がくれ」の例はその後一例経験しました。その際、写真も撮らせて頂いたのですが、紛失してしまい、皆様に御披露出来ないのが残念です。

毎日暑い、いや熱いです。熱中症にならぬ様に御注意下さい。

院長



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