よくある質問

[問]
慢性中耳炎で鼓膜穿孔のある場合、鼓室は外部からの感染に対し無防備となっているが、この者に水泳を許可してよいか。もちろん耳漏のある場合などは禁止すべきと思われるが、仮に許可してよいとして、如何なる条件が必要か、具体的に。また、小児と成人とでは判断が異なるか。例えば耳栓をすることが条件とした場合はどのような耳栓(メーカー、型式等)を如何なる方法で装着すればよいか。(千葉 H生)

[答]
結論を先に申せば「水泳は許可して差支えない」。以下にその理由を述べる。
我が国には何故か古来「水泳が中耳炎を惹起する」という迷信があり、この迷信の間違っていることは少し冷静に考えれば誰でも理解できるのに、医師も患者も耳疾患があると安易に水泳に原因を求めたり、水泳の禁止に走る傾向がある。これは学校教育上も問題である。

 夏期と冬期ではどちらが水泳の人口が多いか。圧倒的に夏期である。では中耳炎は? 経験上冬期から春先に多く、この時期は上気道疾患の季節でもある。中耳炎が水泳と密接に関係するなら夏期に多くなくてはならぬが、この時期に多いのは外耳炎、耳せつである。我々は海女の職業病に中耳炎があるという話は聞かない。また、学校の水泳部の児童に中耳炎が多いと問題になったこともない。すなわち我々は経験上、水泳と中耳炎はほとんど関係がないことを薄々知っているのである。

この迷信は現在の如き優れた抗菌剤のなかった時代の話であり、急性中耳炎が容易に穿孔型の慢性中耳炎に移行し、しかも適切な処置もなされず水泳が行われ、治療にてこずった名残であろう。現在は、むしろ急性化膿性中耳炎は、滲出性中耳炎に移行する傾向にある。

私は滲出性中耳炎を有する児童らを、何の制限もせず1シーズン水泳させたが、何のトラブルもなかった。一方、滲出性中耳炎でチューブ留置例-すなわち人工的な鼓膜穿孔が存するわけであり、ご質問の場合に相当する-で耳栓と帽子を装着させて水泳させたところ、2割に耳漏をみたのみであった。この耳漏例を検討すると、耳栓装着不適切と口蓋裂術後例が多かった。いずれも抗生剤の適宜使用でコントロール可能であった。

スイミングスクールに通う児童と通わぬ児童を冬期(11~4月)を利用して調査したところ、滲出性中耳炎有病率、急性中耳炎罹患率のいずれも有意の差を認めなかったが、全体を上咽頭疾患の有無で2群に分けてみると、上咽頭疾患を有する群での滲出性中耳炎の有病率は他方の5倍に達したという報告がある。

以上から、中耳炎の原因として水泳の関与は薄く、むしろ上気道疾患、具体的にはかぜ、鼻炎、上咽頭炎、奇形などの軽重を留意すべきと考える。

したがって質問の例の如き穿孔のある場合でも、中耳腔に汚物の浸入が防げさえすれば、少々の耳漏があっても問題がないと思われる。鼓膜穿孔がなければ何の制限もいらない。

さて、耳栓であるが、市販の耳栓は、いずれも外耳道が円筒形であるという誤った先入観に基づいており、満足なものがなかなかない。補聴器のイヤモールドをみればわかる通り、外耳道は実に奇妙な形をしており、指紋の如く各人各様である。私が用いているのはシリコンゴム製のもの(商品名イヤーパティ:高研)で粘土の如く可塑性があって、正しく装着すれば水は一滴も浸入しない。私自身の使用経験では1m位潜っても問題がなかった。しかし、素材の性質上ゴミが付着し、汚れやすい。

耳栓が誤って脱落しないようにさらに大人用の帽子を耳を覆うようにかぶらせるとよい。この帽子(デサントスイムキャップ No.ARN-19)はシリコンゴム製で厚い縁どりがあって、それだけでかなりの水の浸入が防げるので、水に潜らないならこれだけで十分である。

水泳条件上、小児・成人で特に区別はないが、小児は慣れるにしたがって装着がルーズになりがちであり、また耳栓も不潔になりやすいので配慮すべきである。

中耳炎が、急性炎症期であったり、多量の耳漏がある場合は水泳は当然制限されるのは常識であろうが、安易に禁止を押しつけるのでなく、できるだけ泳がせるよう努力したいものである。

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