のどの前方には気管、後方には食道と大事な2本の管があります。生まれてから死ぬまで滅多に間違えることなく、空気と食物は巧みに選別されて、肺へ胃へと送り込まれて行きます。その巧妙で簡単な動きを知るとびっくりしますが、多くの哺乳動物・・・ねずみ・犬・猫・牛・・・は皆すべて同じ構造です。
私達誰でも数滴のジュースが気管に入ったぐらいでひどく「むせこんだ」ことを経験していますね。肺で呼吸している生物にとって肺に水が入るということは、生死に係わる重大なことです・・・が実際は全く気にもとめずに毎日過ごしています。ところが何らかの原因でこの分別機構がうまく動かなくなると食事のたびに大変苦しまなくてはなりません。例えば癌で局所を手術した場合、脳梗塞でのどの動きに麻痺が生じた時などです。こんな場合は、のどや腹部に孔を造り、直接胃に食物を送り込まねばなりません。さもないと誤って気管に食物が入ること・・・
(誤嚥・・・ゴエンと言います)により肺炎になってしまいます。
では口に入った食物はどんな具合に食道に流れ込むのでしょうか・・以下図によって説明します
<図~のどの構造>
①軟口蓋(なんこうがい)口腔の天井後部、のどちんこを中心としたヒラヒラした部分。ここは嚥下に際し跳ね上がって口腔から鼻への道を塞ぎます。
②喉頭蓋(こうとうがい)口を大きく開くと立ち上がって見える親指の爪位の「つい立て」があります。これが喉頭蓋です。舌と一緒に嚥下時に後方へ倒れ込んで気管に蓋をする役目をします。(個人差があって見えにくい人もいます)
<図~食物の流れ>
このようにして鼻や気管に行く道を閉ざされて食物は舌に押し込まれてタイミング良く開いた食道に落ち込んで行きます。細かく述べれば頬、口唇、首などのいくつもの筋肉の協同作業がこれを助けているのですが主役は舌と喉頭蓋です。