(まえおき)
花粉症の多彩な症状については以前に当院内だよりに書きましたように、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみだけではありません。他にのどの痛み、せき、頭痛、発熱、皮膚のかゆみ、下痢・・・色々あります。加えて、投薬に対しての反応として、眠くなる、だるい、下痢、むくみ、飲みづらいなどの反響もあります。更には妊娠、薬飲まぬ主義、等々患者さん各々の注文は多様です。これに応ずるには患者さんをよく診察し、話を聞き、私達の経験を加味して納得していただくよう努力するしかありません。簡単なマニュアル通りでは対処できるものではありません。結果として私の処では「**さん定食」が決まるまで1~2シーズンかかります。こうして出来た定食はその後の10~20年を時代を改革を加えながら続いています。
(最近の治療、投薬に対する考え方)
花粉症は季節性のアレルギーです。すなわち一定の期間に症状が出る。ある花粉に対するアレルギーを有する人のみが発症するので、治療は一年のうち限られた期間のみでもよく、これが通年型との違いです。
治療法としては、その期間限定で(1)投薬治療するやり方 (2)レーザーなどを用いて手術的に(3)無症状の期間も費やしての減感作療法など、色々な選択肢がありますが、やはり(1)が主流です。
とにかく期間限定ですから「その間を楽に過ごせれば、マアいいか」という考え方ですし、治療・投薬する立場からも、長期投薬による副作用を考慮しないで済む点は通年型より気楽です。
「根本治療」という考えからは「アレルギー体質を変える」、というのが本筋ですが、「体質を変える」のが簡単でないことは皆さんご存知の通りですね。この命題がコロッと叶えられるなら、喘息やアトピーなどで苦しんでいる人々には大変な朗報になることでしょうが、各個人の遺伝子に連なることですから現在では難題でしょう。余裕のある方はスギ花粉の季節は北海道や海外に「避粉」に出掛ける人もいらっしゃいますが、庶民には無理ですね。
当院では主に(1)、次いで(2)をすすめています。
(薬について)
これだけ花粉症の患者さんが多いと製薬会社は、より新しい使い勝手の良い薬の開発に熱心になります。昔のような抗ヒスタミン剤のみの時代から長足の進歩がみられ、現在第4世代(より副作用が少なく効果的)に突入しています。更に新しい治療法も次々と報告されており、私達も努めて学会、研究会等に参加して新情報に接し、診療現場に役立てるようと努力しております。ご期待下さい。